リサイクル券を紛失したら?再発行の方法は?
車を廃車する際にリサイクル券の提出を求められます。
このリサイクル券は車を購入する際にリサイクル料金を預託したことを証明する書類です。その車を中古車として売却した時リサイクル券に記載されたリサイクル料金を売り先から受け取ることができ、最終的にはその車を廃車する人がリサイクル料金を負担する仕組みです。
ここではリサイクル券の仕組みや紛失した場合の対応方法について解説します。
なぜ?いつ?面倒なリサイクル券制度が出来たか?
新車でも中古車でも、車を購入する時にリサイクル料金を払わないといけません。
正確には新車を購入した人がリサイクル料金も支払います。そして、その人が車を中古車として売却する際に、車両代金の他にリサイクル料金を受け取ることができます。逆にいうと中古車を購入した人は車両代金の他にリサイクル料金を支払わないといけません。そして最終的に廃車する人がリサイクル料金を支払うことになります。つまり、廃車する人は車を引渡しする業者からリサイクル料金を受け取ることができません。
面倒くさい制度ですよね。なぜこういう制度が出来てしまったか?
この制度が出来る前は廃車するのにお金が必要でした。そして、そのお金を払うのが嫌で車を不法投棄する人が少なくありませんでした。更にお金を受け取って車を引き取った業者が車を不法投棄して社会問題になったこともありました。
そのような事態を防ぐために、車を購入する時点で前もって処分料を支払い、廃車時の料金負担を無くすことで不法投棄を防ぐことを目的に平成17年1月から自動車リサイクル法が施行されました。
この法律は正確には「使用済自動車の再資源化等に関する法律」といい、車の所有者だけでなく、国、地方自治体、自動車製造業者、フロン類回収業者、解体業者、破砕業者、その他関連業者の責務が記載されており国全体で自動車の適正なリサイクルに取り組むことが求められています。
この自動車リサイクル法は車を解体する業者に対しても厳しい規制を設けており、その規制をクリアし各都道府県の許認可を得た業者でないと車の解体を行なうことができません。
この許可要件には以下のようなものがございます。
□車を解体した時に発生するオイル・廃液が外に漏れない設備を有すること。
□反社会的勢力の無関係であることを証明する書類を提出すること。
(いわゆる暴力団が解体業を営むことができません)
□フロン・エアバッグを適正に処理すること。
□住宅密集地には解体工場を作らないこと。
□健全な財政状況であること等
また、定期的に抜き打ち検査が行われ、許可要件に違反が見つかると、様々なペナルティが課せられ、最も厳しい場合には、自動車解体の許可が取り消されることもあります。
リサイクル券とはリサイクル料金を支払った証明書
当社が現在社用車として使用している車のリサイクル券です。
【A券】【B券】【C券】からなっています。
右下に発行元として「財団法人 自動車リサイクル促進センター」とあります。
本来は【D券】までありますが、これは料金通知書券発行者控=事業者等が自動車ユーザーにリサイクル料金の額を通知する際に使用する書面であり、リサイクル料金を通知した後は事業者の控えとなるため、一般ユーザーが所有しているリサイクル券では既に切り取られています。
【A券】預託証明書(リサイクル券)
A券に記載されている車台番号の車には預託されているリサイクル料金を財団法人自動車リサイクル促進センターが証明しています。
見本の写真では車台番号(GRS204-0004485)の車に合計17080円のリサイクル料金が預託されています。
リサイクル券番号と車台番号:この2つは1対1で紐づいています。自動車をリサイクルする工程では、このリサイクル券番号と車台番号の両方で管理することで、事務処理上のミスを防ぐ仕組みにもなっています。
車名:ここには『メーカー名』が記載されます。車検証の「車名」欄と同様の記載になります。
シュレッダーダスト料金:車を解体処理した際に発生するゴミの処分費用に充てられます。
エアバッグ類料金:エアバッグを適切に処理するための費用に充てられます。処理方法を間違えると爆発する危険性もあり、ヤフオクなどでの転売は禁じられています。
フロン類料金:エアコンのガスを適切に処理する費用に充てられます。
情報管理料金:廃車された車は電子システムで1台1台管理され、自治体や陸運局等と情報共有されており、このシステムの維持費用に充てられます。
※一部のリサイクル券ではエアバッグ類料金やフロン類料金の金額欄が「*****」となっています。これはエアコンやエアバッグが装備されていない車の場合と、装備されているが預託されていない場合があります。装備されていても預託されていない場合は、廃車時にその金額を納めなくてはなりません。
【B券】使用済自動車引取証明書
これは車を廃車した人(「最終所有者」とも言います)から車を引き取った業者が、以下の項目を記入して、最終所有者に渡すためのものです。
□引取日:廃車となる車を引き取った日
□引渡者:最終所有者の氏名・名称
□引取業者:登録番号は自治体から賦与された番号です。当社の場合でしたら「20131003997」となります。
【C券】資金管理料金受領証
車を新車・中古車として売買される場合、預託金額(写真では17,080円)の他に、資金管理料金(写真では380円)を自動車リサイクル促進センターに納めます。
なお、資金管理料金は支払手数料として費用計上します。それに対して『シュレッダーダスト料金』『エアバッグ類料金』『フロン類料金』『情報管理料金』を預託金として資産計上しますのでご注意ください。
リサイクル券が必要になる時
<1>車を購入した時
車を購入した時は車両本体価格とは別に、‘必ず’リサイクル料金を支払います。車検証の車台番号とリサイクル券に記載された車台番号が一致しているか確認ください。
<2>車を中古車として売却する時
車を中古車として売却した際は、車両本体の他に、リサイクル料金を受けることができます。
現実的な商取引ではコミコミで20万といわれればそれまでですが、知識として知っておいてください。
<3>車を廃車する時
車検を通す際もリサイクル券は使用しませんから、車検証入れに埋もれたままになっていることも珍しくありません。
廃車時にはリサイクル料金が預託されていることを確認するために、リサイクル券を提出していただきますが、万が一紛失されても、車検証情報からネットでリサイクル料金の預託状況を確認できます。
<参考>預託されたリサイクル料金の運用
リサイクル料金は新車時に預託されるため、廃車されるまでの十数年間は、預託されたリサイクル料金がプールされることになります。2019年度で約9300億円の預託金が残高として積みあがっており、その一部は運用に回され2019年度では47億円の運用益を出しています。
それだけでなく以下の事業を行なっています。
<1>離島対策支援授業
離島には車を破砕する工場が無いため、使用済自動車等を適正処理するために本土への海上輸送が必要となります。この海上輸送費用のうち8割を自動車リサイクル促進センターが負担しています。
2019年度の出えん台数は25,000台(前年度比104%)で、負担金額は1.2億円でした。
離島で毎年、2,5000台も廃車が発生することに意外に思われ方もいるかもしれません。離島の車は概ね海岸に近くにあり、塩の影響で車の寿命が本土に比べて極端に短くなります。5年もすると本土で30年間放置された車と同じような状態になるケースもございます。
<2>不法投棄等対策支援事業
不法投棄された車の処理に対してこれまでに1700万円を負担してきました。最近は不法投棄される車の減少もあり、2019年度は無し
リサイクル券を紛失したら?再発行の方法
リサイクル券は車の購入・売却・廃車の時以外では使うことがないため、無くしてしまう人も珍しくありません。
リサイクル券の再発行はできませんが、自動車リサイクル促進センターが管理するサイトから、「自動車リサイクル料金の預託状況」を印刷することでリサイクル券の替わりに預託状況を証明することができます。
車検証に記載されている『車台番号の下4桁』と『登録番号』を入力すればすぐに預託状況を確認できるため、廃車時にリサイクル券が無くても、廃車の買取り業者でもすぐに確認できます。
最後に
香川県に豊島(てしま)という島があります。この島では車を含む様々な産業廃棄物が不法に埋め立てられ、社会問題に発展しました。「豊島事件」で検索すると事件の概要を知ることができます。
この問題がきっかけになり、自動車リサイクル法が制定され、車を購入する時にリサイクル券が必要となりました。
1台1台の車をネット上で管理する日本の廃車リサイクル制度は2020年の時点で先進国でも稀な日本独自のものです。ただし、この制度を維持するためには、ユーザーだけでなく、多くの自動車関連企業・団体においても、人的負担、システムの維持費が発生しています。
この制度がなくなれば、どれだけの人がこの業務から解放され、より生産的な仕事に従事できるだろうか?と考えることがあります。しかし、廃車時に費用負担が発生してしまうと、どうしても一定数不法投棄する人が出てきてしまい、その処理問題が発生してしまいます。悩ましい問題ですね。
2020年11月19日
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